鬼ごっこ…。
なんだか聞いたことのある台詞だ。
「…佐々木さん、あの、なんでそんなに余裕なのですか?」
…青山に喧嘩を売った者は、生きて家まで帰ることはできない。
そうとまで言われている執拗な青山のことを警戒してのあたしの謝罪は、彼にとっては意味を成さないらしい。
「“彼”が来てくれるからですよ。スペシャルゲストが」
「そんなに頼もしい人なんですか?」
「もちろん」
佐々木さんがニッコリ笑う。
「このしょうもない青山の執着を終わらせることができる唯一の人です」
そう言いながら、あと一歩で敷地を出るところまでやってきた。
「貴女は喧嘩が出来ません。策士であり、駆け引きの上手な方でもありますが、力では男には確実に勝てないことは和佳菜様自身もご存知だと思います」
「…ええ」
「だから決して、スペシャルゲストが登場するまで、わたくしの元から離れないでください。離れなければ、最後まで貴女をお守りすることをここに誓います」
胸に手を当て、まるで紳士のように、優しげに微笑んだ。
「絶対に離れません」
「よく言いました」
出たら左に、次の交差点は右に。
そう囁いた佐々木さんが静かにてを取り。
「参りましょう」
優美な笑顔で、その敷地から出た。



