蒼の花と荒れる野獣Ⅱ



「周りくどいことは苦手だから単刀直入に聞くわね」


「分かっとるよ。パーティーのことでしょ?うん、あれは僕や」


「それだけじゃないの。仁に固執する理由を知りたいの」


仁が欲しくてたまらないこの男。


だけど、仁をもらって、メリットなんていくつ思い浮かぶだろうか。


情報は銀深会に漏れるかも知れない。


青山が潰されるかも知れない。


そんなリスクを伴ってでもやりたかったこと。


彼は答えない。


「なら、代わりにあたしが答えるわ」


貴方の目的がずっと分からなかった。


何故、敵陣である仁をあんなに褒めたのか。


何故、仁をこんなに欲しがるのか。


やっと、分かった。


あの子に見た瞬間に、全てが繋がった。


「…日本で一番になるつもりね?」


かっと目の前の男が目を見開いた。


当たりだ。


東は銀深会、西は青山組。


出世欲の強いこの人は、大きな地位を欲しがる。


だから、力をつけ若くして青山のトップにまで上り詰めた。


だけどそれだけでは物足りなくなったのだろう。


「青山には後継者がいないってずっと言われていたわね」


これは瑞樹から教えてもらったこと。


新幹線の中で全て頭に入れたから、間違えはないはずだ。


彼には奥さんはいる。


しかし子供はいない。


作ろうとしても、彼のほうに原因があるのか、子供をつくることはできないと言うのが、専らの噂だ。


「葏忢さん、貴方は若い。才もある。だけど、若頭不在の中で貴方だけでやっていけるほど甘い世界ではないわ。貴方もよく分かっているはず。だからこそ」


そこで、あの男の子なのだ。


「玲君、といったわね。あの子は筋がいい。今やるべきことを、相手の想像を読み取るセンスがある」


玲君が力をつければ、青山はかなりの脅威になる。


力をつければ、の話だが。


「でも、あの子はまだ若頭になるには若すぎる」


身体的にも精神的にも。


まだまだ彼は幼すぎる。


本当に彼を青山のトップに就かせたいのならば、それなりに成長しなくてはいけない。


「それで、君の想像が全部合っとるとしてや。どうして、銀深会の若頭君を僕が引っ張ってくることになるんか?」