「周りくどいことは苦手だから単刀直入に聞くわね」
「分かっとるよ。パーティーのことでしょ?うん、あれは僕や」
「それだけじゃないの。仁に固執する理由を知りたいの」
仁が欲しくてたまらないこの男。
だけど、仁をもらって、メリットなんていくつ思い浮かぶだろうか。
情報は銀深会に漏れるかも知れない。
青山が潰されるかも知れない。
そんなリスクを伴ってでもやりたかったこと。
彼は答えない。
「なら、代わりにあたしが答えるわ」
貴方の目的がずっと分からなかった。
何故、敵陣である仁をあんなに褒めたのか。
何故、仁をこんなに欲しがるのか。
やっと、分かった。
あの子に見た瞬間に、全てが繋がった。
「…日本で一番になるつもりね?」
かっと目の前の男が目を見開いた。
当たりだ。
東は銀深会、西は青山組。
出世欲の強いこの人は、大きな地位を欲しがる。
だから、力をつけ若くして青山のトップにまで上り詰めた。
だけどそれだけでは物足りなくなったのだろう。
「青山には後継者がいないってずっと言われていたわね」
これは瑞樹から教えてもらったこと。
新幹線の中で全て頭に入れたから、間違えはないはずだ。
彼には奥さんはいる。
しかし子供はいない。
作ろうとしても、彼のほうに原因があるのか、子供をつくることはできないと言うのが、専らの噂だ。
「葏忢さん、貴方は若い。才もある。だけど、若頭不在の中で貴方だけでやっていけるほど甘い世界ではないわ。貴方もよく分かっているはず。だからこそ」
そこで、あの男の子なのだ。
「玲君、といったわね。あの子は筋がいい。今やるべきことを、相手の想像を読み取るセンスがある」
玲君が力をつければ、青山はかなりの脅威になる。
力をつければ、の話だが。
「でも、あの子はまだ若頭になるには若すぎる」
身体的にも精神的にも。
まだまだ彼は幼すぎる。
本当に彼を青山のトップに就かせたいのならば、それなりに成長しなくてはいけない。
「それで、君の想像が全部合っとるとしてや。どうして、銀深会の若頭君を僕が引っ張ってくることになるんか?」



