“ 決して口外してはいけないよ。”
1年前。
お爺さまの誕生パーティーの最中に気取った男性がそう声をかけた。
『これが仁君が作り上げている計画や』
大人から侵略されない世界。
当時の仁はそれを作ることで精一杯だった。
あの計画がどうなったのかは知らない。
彼にそのようなことを聞く余裕も今はない。
だけどあたしがわかる唯一のことは。
それを話した人物が青山 葏忢だった、ということ。
大量の紙にびっしり敷き詰められた情報。
あれは忘れることなんてできない。
「仁が欲しくてほしくてたまらない、葏忢さん。あれを貴方以外の誰がなるのでしょう?」
ふふと、小さく目の前の男は笑って。
「まあ、中に入ればいい。話はそれからやな」
否定も肯定もしなかった。
「失礼します」
そう言って中に入る。
佐々木さんも続こうとすると。
「和佳菜ちゃん、僕は2人で話したいんよ」
「佐々木さんは要らないと?」
「分かってるなら、その通りにして欲しいなあ。僕はあまり気が長い方じゃないんて。頼むよ」
ウインクをして笑う。
「そういうことですので、これ以上は」
男の子がそう言って佐々木さんを止める。
「和佳菜様」
佐々木さんがあたし目を見つめる。
大丈夫、とでも言うようにあたしは頷いた。
「佐々木さん。…何かあったら」
「分かっていますが」
「なら平気よ」
別になめているわけでもない。
馬鹿にしているわけでもない。
ただ、この男、青山 葏忢には。
絶対に勝てる、その自信だけはあった。



