蒼の花と荒れる野獣Ⅱ







“ 決して口外してはいけないよ。”



1年前。



お爺さまの誕生パーティーの最中に気取った男性がそう声をかけた。



『これが仁君が作り上げている計画や』


大人から侵略されない世界。


当時の仁はそれを作ることで精一杯だった。


あの計画がどうなったのかは知らない。


彼にそのようなことを聞く余裕も今はない。


だけどあたしがわかる唯一のことは。



それを話した人物が青山 葏忢だった、ということ。


大量の紙にびっしり敷き詰められた情報。


あれは忘れることなんてできない。


「仁が欲しくてほしくてたまらない、葏忢さん。あれを貴方以外の誰がなるのでしょう?」


ふふと、小さく目の前の男は笑って。


「まあ、中に入ればいい。話はそれからやな」


否定も肯定もしなかった。


「失礼します」


そう言って中に入る。


佐々木さんも続こうとすると。


「和佳菜ちゃん、僕は2人で話したいんよ」


「佐々木さんは要らないと?」


「分かってるなら、その通りにして欲しいなあ。僕はあまり気が長い方じゃないんて。頼むよ」


ウインクをして笑う。


「そういうことですので、これ以上は」


男の子がそう言って佐々木さんを止める。


「和佳菜様」


佐々木さんがあたし目を見つめる。


大丈夫、とでも言うようにあたしは頷いた。


「佐々木さん。…何かあったら」


「分かっていますが」


「なら平気よ」



別になめているわけでもない。


馬鹿にしているわけでもない。


ただ、この男、青山 葏忢には。


絶対に勝てる、その自信だけはあった。