蒼の花と荒れる野獣Ⅱ



「ありがとう。開けてもらってもいいかしら?」


敵の目の前で自ら物には触れない。


敵陣に来たときの鉄則である。


「…分かりました。お開けします」


カチンと、スイッチのボタンを押すような音の後、ガラリとドアが開いた。


奥の椅子に、人が座っている。


その人は、面をゆっくりと上げると。


「さすがやな、和佳菜ちゃん」


にこりと微笑んだ。


「…葏忢さん。しょっぱなからトラップなんて仕掛けないでくださいよ」


あのカチンと音を立てたのは仕掛けが解除された合図。


昔から悪戯が好きだったけれども、変わらない。


青山 葏忢。


「いやあ、見ない間に大人になりおって」


凄くフレンドリーで、優しい人。


に見える。


「1年ぶりですよ。お爺さまの誕生パーティー以来ですね」


だけど本当は。


「…なんのことかな?」


にこり微笑むその裏の顔は。


「知らないフリはよしてください。あの日仁をあんなに褒めて、大人から侵略されない領域の話をしたのは、貴方だったじゃないですか」





恐ろしいサイコパスだ。