「ありがとう。開けてもらってもいいかしら?」
敵の目の前で自ら物には触れない。
敵陣に来たときの鉄則である。
「…分かりました。お開けします」
カチンと、スイッチのボタンを押すような音の後、ガラリとドアが開いた。
奥の椅子に、人が座っている。
その人は、面をゆっくりと上げると。
「さすがやな、和佳菜ちゃん」
にこりと微笑んだ。
「…葏忢さん。しょっぱなからトラップなんて仕掛けないでくださいよ」
あのカチンと音を立てたのは仕掛けが解除された合図。
昔から悪戯が好きだったけれども、変わらない。
青山 葏忢。
「いやあ、見ない間に大人になりおって」
凄くフレンドリーで、優しい人。
に見える。
「1年ぶりですよ。お爺さまの誕生パーティー以来ですね」
だけど本当は。
「…なんのことかな?」
にこり微笑むその裏の顔は。
「知らないフリはよしてください。あの日仁をあんなに褒めて、大人から侵略されない領域の話をしたのは、貴方だったじゃないですか」
恐ろしいサイコパスだ。



