蒼の花と荒れる野獣Ⅱ



「でも、仁がしたかったことはそれだけだったみたいで。仲間とも一切連絡をとっていなかった。携帯はずっと奪っていたのに。それでも、頭の提案を逆手に取って、うちの関東の本部を…解体した」


「っ!」


西の本部ではないとはいえ、関東本部なんて何人いるか知れた話じゃない。


「…どうやってって聞いても教えてくれないから、今度和佳菜ちゃんから聞いてみて。あたし達がまた会えたら、聞かせて」


きっとその時は全て終わってると思うから…。


曖昧に微笑んだ千夏ちゃんが、痛々しく見えた。


「ねえ、千夏ちゃん。今こうやって空き家に隠れてるけど、いつかはそれも向こうに知られると思う」


「わかってる、ちゃんとけじめはつけるつもり」


「そうじゃなくて、千夏ちゃん。次捕まったらどうなるか、想像できてるよね?貴女は、仁を取り損ねた悪者扱いよ。日本の暴力団だって、そこまで優しくないはずよ。それに、マーク側の人間も、貴女を捜してる」


「あたしを?」


不思議そうに眉をしかめる。


「そう、銀深会と、青山組の間で揉めないようにということだったけど。100パーセント本気とも言いがたい。心当たりはある?」


「わからないよ。頭とマーク側の人間が、何かやりとりしてるの知ってたけど…」


そう言ってから。


「あ」


と何かを思い出したかのように呟いた。


「何かあった?」


「前、頭とお話ししてた時に、電話が鳴って。……急遽指令があったの。ある人を捜して欲しいと」


「…その人とは?」



『白い仮面をした悪魔』