「でも、仁がしたかったことはそれだけだったみたいで。仲間とも一切連絡をとっていなかった。携帯はずっと奪っていたのに。それでも、頭の提案を逆手に取って、うちの関東の本部を…解体した」
「っ!」
西の本部ではないとはいえ、関東本部なんて何人いるか知れた話じゃない。
「…どうやってって聞いても教えてくれないから、今度和佳菜ちゃんから聞いてみて。あたし達がまた会えたら、聞かせて」
きっとその時は全て終わってると思うから…。
曖昧に微笑んだ千夏ちゃんが、痛々しく見えた。
「ねえ、千夏ちゃん。今こうやって空き家に隠れてるけど、いつかはそれも向こうに知られると思う」
「わかってる、ちゃんとけじめはつけるつもり」
「そうじゃなくて、千夏ちゃん。次捕まったらどうなるか、想像できてるよね?貴女は、仁を取り損ねた悪者扱いよ。日本の暴力団だって、そこまで優しくないはずよ。それに、マーク側の人間も、貴女を捜してる」
「あたしを?」
不思議そうに眉をしかめる。
「そう、銀深会と、青山組の間で揉めないようにということだったけど。100パーセント本気とも言いがたい。心当たりはある?」
「わからないよ。頭とマーク側の人間が、何かやりとりしてるの知ってたけど…」
そう言ってから。
「あ」
と何かを思い出したかのように呟いた。
「何かあった?」
「前、頭とお話ししてた時に、電話が鳴って。……急遽指令があったの。ある人を捜して欲しいと」
「…その人とは?」
『白い仮面をした悪魔』



