ごめんなさい、仁。
貴方に聞けない、弱いあたし。
許して、なんて言わない。
だけどどうしても、知りたかったの。
「仁を連れ出せ、と連絡が入って。それまでは、あともう少しとか、言い訳をつけて逃げて回っていたんだけど。それもなかなか難しくなってしまったの」
少し息を吐いて、彼女はあたしの目を見て言った。
「花火をしたいと言った時から、心は決まっていたの。仁があたしの誘いに乗ってくれることなんてまずないから」
“仁、ごめんね。”
そう言った彼女は、手刀で、首のあたりを狙って、気絶させたという。
「仁を、分家から来ていた組員に運ばさせて車に乗せた。分家について、客間まで運んだ。それからどれくらいしたか、わからないけど、仁は起きて、あたしを怒鳴った」
『こんなことをしていいと思ってんのか?』
『さあ?でも、しばらくはうちにいてちょーだい。…頭もきっとすぐに来ると思うから』
「その日のうちに頭は来て、当然のように、青山|《うち》に来ないか?と誘ったわ。彼はその時既に手を打っていたみたいで、その話を乗ってくれた」
「だけど、その前に準備がある。すぐに出ようと思っても、やることがある。だから、次の週のこの曜日に、再びここで会いたいと、そう言った」
「頭も頭で、見張りと行動するなら…と言ってそれを許したの。それが、うちにきてから1週間くらい経った時のこと」
それは、丁度。
「仁が一旦こちらに戻って来た時…」
「そう、多分これが目的だったのよ」
「でも、その時そんな人たちとは一緒に居なかったわ」
「獅獣の倉庫がバレちゃいかないからね。1時間だけ見張りと鬼ごっこしてたみたい」
「鬼ごっこって」
そんな生易しいものではないでしょうに。
だけどそこまでして、あたしに会いに来てくれた。
なんで、なんて考えないうちに頭に浮かんだ。
分かってしまった。
不器用で、優しい貴方は。
あたしを守ろうとしてくれたのね。



