蒼の花と荒れる野獣Ⅱ




「無理だ……無理だって!何回も思ったよ!いけないって。あたしは自分を守るために、あそこを捨てたのに!」


ぐるりとまわる、まるで目眩のよう。


襲う…罪悪感、痛み、悲しみ。


きっとそれはあたしが想像しきれないほど、辛い現実だ。



「…やるしかなかったの。やらないなんて、言えないの。頭のいうことは絶対だから」


「…!」


力強い眼力から、彼女の意思の強さが垣間見えた時。


あ。


あたしが千夏ちゃんのことが怖かった理由は、わかったような気がした。


恐らくそれは。


目標のある目。


それが、何も持っていないあたしには、すごく恐ろしかった。



「でも、しょーじきなこと言えば、和佳菜ちゃんに申し訳ないなんて思ってなかったよ。だってあそこは千夏の居場所だから。千夏以外は獅獣のお姫様にはなれないんだから!」


叫びは痛みしかあたしに教えてくれない。


「情報を集めて、和佳菜ちゃんがどんな人なのか、何をしているのか、集めて、作戦を立てていたの。貴女から仁を奪えるって。かけがえない幸せなあそこであたしは暮らすんだって。…千夏は、そうすることでしか生きられないから」


そうすることでしか生きられない。


本当、昔のあたしとよく似てる。


あたしもマークの側に居たくて、居られるならなんだってしたなあ。


「和佳菜ちゃんの前で使うつもりだった作戦は、和佳菜ちゃんがいなくなったから使わなくなったけど、かえってあたしにはそれが良かったよ」


ふふと、小さく彼女はわらった。


それはそれは寂しそうに。