「………あの場所であたしは奴隷だった」
ぽつりと、話し始める彼女は、壊れそうで、儚くて。
やっと本物の千夏ちゃんと会えた気がした。
「養子として受け入れて貰えなくて、住む場所だけ与えられたあたしは、凄く孤独だったの。銃の打ち方も、殺しも、色恋も、器用にやることで、命を繋いできた」
きゅうと、唇を締める。
「でもやっぱりそれだけじゃ戦力にはならないの。殴られたり、蹴られたりするから。所詮あたしは女だし。力じゃ、男には敵わないから」
「そんな時、かしらの表情を読めなかった組員の1人が怪我をしてね。あたしは手当てをしてあげてたんだけど。その人がその時、組長を怒らせない人間になれ、って言ったの」
「そんなの無理だ、って思ってたんだけど、組員の一人で組長を煽てるのが上手なヒトがいたの。あたしに手当てしてもらったその人は、煽てるのが上手なあいつみたいになれば、いいって。そうすれば嫌なことはされなくなる。お前だけを見てくれる。そう、言うから…」
そうは言ってもその道のりは長く険しいものだったに違いない。



