蒼の花と荒れる野獣Ⅱ


「…ねえ、学校で起こる惨めな人間の行いってなんだと思う?」


「はあ?」


「それがあたしがされたこと」


くすりと笑って見せると、彼女は眉根を寄せた。

「…なによ、いきなり問題出さないでよ」


「ああ、学校だけで起こるとは限らないわね。誰でもやり得るもの」


「意味わかんないんだけど」


「そうよね、さすがにこれだけじゃ分からないわよね」


じゃあ教えてあげる…。


そう彼女にささやくと。


「嘘…、あんたが?」


目を見開いた女は、ただぼんやりと口を大きく開けた。




“ あたし、いじめられていたの ”



まあ、想像がつかないのが普通だと思うわ。


今のあたしはとてもそんなふうに見えないもの。


「理由は単純よ。あたしが気持ち悪かったから」


「単純って…」


「『気持ち悪い』何度そう言われたか、分からない。人より、物事を理解するのが早いだけで化け物扱いされた」


「……」


「体育の時間の直前に、体操着を奪われた。二度と戻って来なかったし、どこにいったのかもわからない。筆箱の中身が突然無くなって、何も書けなくて嘲笑われた。……他にも言えばいい?トイレに入って居れば、水が降ってくるのはざらだし、お金なんてすられるわ、千切られるわ、せびられるわ。それに…」


「もういい」


力強い声だった。