「…ねえ、学校で起こる惨めな人間の行いってなんだと思う?」
「はあ?」
「それがあたしがされたこと」
くすりと笑って見せると、彼女は眉根を寄せた。
「…なによ、いきなり問題出さないでよ」
「ああ、学校だけで起こるとは限らないわね。誰でもやり得るもの」
「意味わかんないんだけど」
「そうよね、さすがにこれだけじゃ分からないわよね」
じゃあ教えてあげる…。
そう彼女にささやくと。
「嘘…、あんたが?」
目を見開いた女は、ただぼんやりと口を大きく開けた。
“ あたし、いじめられていたの ”
まあ、想像がつかないのが普通だと思うわ。
今のあたしはとてもそんなふうに見えないもの。
「理由は単純よ。あたしが気持ち悪かったから」
「単純って…」
「『気持ち悪い』何度そう言われたか、分からない。人より、物事を理解するのが早いだけで化け物扱いされた」
「……」
「体育の時間の直前に、体操着を奪われた。二度と戻って来なかったし、どこにいったのかもわからない。筆箱の中身が突然無くなって、何も書けなくて嘲笑われた。……他にも言えばいい?トイレに入って居れば、水が降ってくるのはざらだし、お金なんてすられるわ、千切られるわ、せびられるわ。それに…」
「もういい」
力強い声だった。



