そんなシナリオだけを読んでいれば、あたしは幸せなのかもしれない。
「…あたしは、貴女と比べたら幸せな人生を送っているのかもしれない。貴女はどこまで調べたの?どうせ、あたしの叔父が隠したあたしの秘密まではたどり着いていないでしょうけど」
「秘密…?」
「あたしの記憶上、ママが子育てに加わったことは殆どないわ。1年に、何回会えるか分からない、その程度。パパとは、会った事はない。話さえ聴かせて貰ったことはない。聞くなと、そう言われてきたから。ずっとアメリカの山奥で…祖母?と暮らしてきた」
グラマ(grand mother)=祖母というのを頭の中で変換しながら、説明した。
「あたしは、小さい頃から勉強が好きで、沢山勉強してきた。それに目をつけた人間が、あたしに支援をするから、飛び級で小学生になれ、と言った」
「祖母の勧めもあって、あたしは4歳で小学科に入学した」
「4歳…」
「それからも勉強は楽しかった。知らないことがなくなると、また先生が新しいことを教えてくれて。計算のスピードだって、2つ上の同学年の子にだって負けたことは無かった」
「天才はいいね。…あんたは恵まれてる」
どこか遠い目をして呟くこの女に、心底腹が立った。
「何も知らないくせに」
キツく睨んだあたしに、彼女はグッと言葉を詰まらせた。
「なによ!あたしがなにが知らないって言うのよ。どうせ知っていても大したことがないものでしょ!」
大したことが無かったら、琢磨が隠すはずがないじゃない。
あたしの人生の汚点を彼はおじいさまの指示のもと綺麗に消して見せた。
いや、隠してみせた。



