蒼の花と荒れる野獣Ⅱ















「和佳菜様、あやみ様。到着しました」



「行くわよ、和佳菜ちゃん」


ドアから降りると、あたしを引き上げるように、掴んだ手を持ち上げた。


「ありがとうございます」


「心配?顔が真っ青よ」


あやみさんがあたしの顔を覗き込む。


そう聞かれれば、そうではあるが。


「ええ、そうですね」


「平気よ。ここには若頭選任の良い医者が揃っているの。大抵のことは直ぐに治るわ」


あたしの中には違うことが渦巻いている。


「…それは頼もしいですね」


ふう、とため息をついたあやみさん。


「やっぱり、上の空ね」


「え?」


「貴方の心配ごとは仁が7割、マークが3割って感じかしら?」



「…もちろん、佐々木さんも心配してますよ」


「あらその感じじゃ、あたしが言ってることはおおよそ外れてないみたいね」


そう、目を伏せた。


「分かっています、これでも。佐々木さんに失礼だということは」


今は彼が一大事なのだから。


それでも頭の中のどこかに仁が、マークがいて、離れてなんかくれない。


ぎゅっと唇を噛んだ。


何をしているの、あたし。



過去に拘ってばかりだと今を見落としてしまう。


大切なものを見失ったことのあるあたしは、もう、見落とさない。


分かっているでしょう?


もう二度と間違えたくはない。



「すみません、もう大丈夫です。行きましょうか」


どうか無事でありますように。



そう願いながら、…そっと一歩を踏み出した。