「ごめんね、内輪の揉めごとに巻き込んじゃって」
「あたしから首を突っ込んでいったので、あやみさんが謝る必要はないです」
そう言えば、あははって、あやみさんは笑って。
「まあ、元はと言えばそうよ。ほんと、面白い子よね。関係ないのに、自分から突っ込んでいっちゃうんだもん」
なんだか楽しそうに、ケタケタと肩を揺らす。
「一輝が色々としたみたいだけど、貴女には怪我はない?」
あやみさんがあたしの顔を覗き込んで、眉根を寄せたけれども。
「あたしはなんともないです。それよりも毒矢を打たれた佐々木さんの方が心配で」
綺麗に佐々木さんの背中の真ん中を射抜いた、矢があたしに被害を被るはずもなく。
佐々木さんや仁がいてくれたおかげで、あたしは無傷だ。
「あれは大したことないと思うけどね。あいつかなり臆病だから、人殺しとかできないのよ。この世界に来たっていうのに、覚悟が足りなすぎ」
どこか呆れたようにため息をついたあやみさんは、窓の方に視線を向けた。
「一輝は早く組長の側から離れればいいのに」
運転手さんがため息をふぅと吐き出す。
「河合」
「いいじゃないですか。和佳菜様は、どう頑張っても若が自分のものにするでしょう」
自分の、もの?
ものって、なに?
わからない言葉に首を捻るが、突っ込む余裕もなく、話は展開していく。
「そりゃ、そうだけど。組内のことを簡単に口にするもんじゃないわ」
「すみません…」
「ごめんね、和佳菜ちゃん。まだ若のものになるかなんて分からないのにね」
「あの、…仁のものってなにがなるんですか?」



