蒼の花と荒れる野獣Ⅱ



「ごめんね、内輪の揉めごとに巻き込んじゃって」


「あたしから首を突っ込んでいったので、あやみさんが謝る必要はないです」


そう言えば、あははって、あやみさんは笑って。


「まあ、元はと言えばそうよ。ほんと、面白い子よね。関係ないのに、自分から突っ込んでいっちゃうんだもん」


なんだか楽しそうに、ケタケタと肩を揺らす。


「一輝が色々としたみたいだけど、貴女には怪我はない?」


あやみさんがあたしの顔を覗き込んで、眉根を寄せたけれども。


「あたしはなんともないです。それよりも毒矢を打たれた佐々木さんの方が心配で」


綺麗に佐々木さんの背中の真ん中を射抜いた、矢があたしに被害を被るはずもなく。


佐々木さんや仁がいてくれたおかげで、あたしは無傷だ。


「あれは大したことないと思うけどね。あいつかなり臆病だから、人殺しとかできないのよ。この世界に来たっていうのに、覚悟が足りなすぎ」


どこか呆れたようにため息をついたあやみさんは、窓の方に視線を向けた。



「一輝は早く組長の側から離れればいいのに」


運転手さんがため息をふぅと吐き出す。


「河合」


「いいじゃないですか。和佳菜様は、どう頑張っても若が自分のものにするでしょう」


自分の、もの?


ものって、なに?


わからない言葉に首を捻るが、突っ込む余裕もなく、話は展開していく。


「そりゃ、そうだけど。組内のことを簡単に口にするもんじゃないわ」


「すみません…」


「ごめんね、和佳菜ちゃん。まだ若のものになるかなんて分からないのにね」


「あの、…仁のものってなにがなるんですか?」