蒼の花と荒れる野獣Ⅱ



「着替えて来い。佐々木さんのとこ行くんだろ」


はっと我に返った。


そうだ、大丈夫かな?佐々木さん。


こんなにゆっくりしている場合はないのに。


仁に会えて、浮かれていた。


「急げよ」


「分かっているわよ」


そう言いながら、一旦二階へ戻る。


パタン、とドアを閉めた時にはもう、足はいうことを聞かなくなっていた。


静かにお尻をついて、ドアを背に座り込んでしまった。


「…あたし、本当に何しているのだろう」


こんなに許せないのに。


まだ、貴方を心の中で憎んでいるのに。


罪滅ぼしなんて、そんなものにはならないのに。


どうしてこんなに嬉しいのだろう。


どうしてこんなに心が明るくなるのだろう。





本当は、もう答えが出ているのだ。





それでも、どこかで認めたくはなくて。


まだ許せないあたしでいたくて。


ざわざわと、まだ心が揺れる。


佐々木さんのことで安心なんかしていない。


まだ不安。


それでも、足は思うようには動かない。


ずっと気を張っていたせいだろうか。


行かなければと、思うのに。


仁のことで頭の中が支配されている。



がんばれ。


がんばれ、あたし。


気を張って。


強い女に、戻るのよ。