「もしどうしてもというのなら、それは雅に任せましょう」
1人、話を続ける仁に、あたしも雅もどのように行動した方が良いのかわからなくなっていた。
「…そんなことを言って」
恐れ、慄きながらも不機嫌になった組長にそっと仁が耳打ちすると。
ニヤリと顔が汚くなって、それから。
「良いだろう……。好きにしろ」
とだけ言って、この大広間を出て行ってしまった。
あたしを罵った男が慌てて後を追って出て行き。
その後を何人かお付きの者がついて行った。
そんな組長を見ている間に、仁は、静かに消えていた。
緊張感のあったこの空間は一瞬にして和らぎ、パラパラと人が出て行く。
「お前、行くぞ」
目線をあげると、瑞樹があたしを面倒臭そうに見下ろしていた。



