驚嘆した、この場にいる誰もが。
もちろん、あたしも。
「そこまで来て、まさかの秘密ですか?笑えませんよ」
「別に笑ってもらうために言ってるんじゃないからな」
ねえ、どうして?
どうして守ったの?
瞳を伏せた貴方の気持ちが分からない。
今この場にいる誰もがあたしを守ったことはよくわかるのよ。
みんな分かっているはずよ。
あたしが、何者か名乗らなくても、あたしが敵だっていうことくらい。
そんな人間を、守ったら貴方の立場がどうなるか。
あたしにだって想像することくらい簡単なのよ。
「じゃあ、質問を変えましょうか。なんで仁さんがそこまで知っているんですか?」
「こいつはマークの恋人だったんだろ?逮捕者の名前までは記憶しねえが、顔とどんな関係性だったかくらいなら覚えてる」
ねえ、仁。
いつから知っていたの?
あたしがマークの恋人であり、あの日の逮捕者であることを。
聞きたくても聞くことはできない。
だってあたしたちは“初対面”だから。
仁が作った全ての嘘をあたしが崩していいはずがない。
だから黙って、貴方を静かに見つめるの。
「素晴らしいですね。さすが若頭。アメリカの事件まで覚えていらっしゃるなんて。普通、そんなもの忘れてしまいますよ?」
「覚えてて悪いのか?」
少し、不機嫌になったのが顔に出た。
態度にもでた。
あたしは分かってしまったが、この男は分からないようで。
「いいえ、いいえ!ただ、そんな昔の事件をどうして記憶していたのか教えていただきたくて」
「頭に入れてることに理由が必要なのか?」
「…え、いや」
「お前こそどうしてこうも突っかかってくる?俺にはよく分からねえ」
「だから!その、もしかしたらそのお嬢様のことが気になっていたのではないか、と」
「うぜえ」



