あの事件は長く報道されたし、あたしの顔もメディアに載ったらしかった。
警察に保護されてもなおあたしの周りをついて回るものは多かった。
「すまないね。私の記憶力にも限りがあるんだ。君の顔までは覚えていられなかった」
「いえ、気にしておりませんので、お気になさらず」
でも、と再び息を吸った組長にあたしは少し身構える。
「マークさんの話は、かなり気になるな。是非とも別室でおはなしを聞かせて頂けないかな」
ほうらこうなる。
怪しく光った目があたしの胸に不快感を残す。
あたしがその後どうなるかなど知れたものだ。
だけど本当にあの馬鹿は何も考えていなかったのだろうか。
「そのことについては、私が直接お話を聴いてもよろしいでしょうか?」
ああ、やはり。
さすがマークの側に仕えているだけのことはある。
自分で蒔いた種は自分で回収するものだ。



