カタンと音を立てて、襖を開けた影がひとつ。
襖口で佇んでいた。
誰もがハッと息を呑み、慌てて頭を下げた。
下げないのは組長とその隣のあたしを追放した人だけ。
あたしを小馬鹿にしていた男さえも頭を下げた。
誰だろうと振り返ろうとすると。
「遅いぞ、雅|《みやび》。何をしていたんだ」
組長が問いかけたので慌てて前を向いた。
「すいません、組長。例の件が長引いてしまいまして」
あれ、どこかで聞いたことがある声…。
その人はあたしを嫌うその人の隣に座った。
そして、ようやくその雅と呼ばれる人の顔を眺めた。
「えっ…」
思わず声が漏れてしまった。
うそ……。
なんで、なんで貴方がここにいるの。
というか、名前…が。
「どうした、知り合いか?」
組長の声がけにどのように反応をしたら良いのか迷ってしまうほど、どうしようもなく知っている顔である。
「そうなんです。あたし、アメリカに行っていた時代があってその時にらーめん屋であたしがバイトをしていて知り合って以来で」
嘘は言っていない。
日本食が好まれる街のらーめん屋でバイトをしていた時に出会ったのだ。
「それもそうですけど、このこ、あのマークの元カノですよ」



