「…佐々木か。あの、佐々木 慎ノ介|《しんのすけ》か?」
そうは言われたって分からない。
何故って、佐々木さん、名乗る時は佐々木しか言わなかったから。
どうしよう、ここで分かりませんなんて言ってしまったら話にならないと突き返されてしまう。
佐々木さんはとても穏やかな人ではあるが一応裏の世界の住民だ。
出来なかったとき何を言われるか知れたものではない。
「…えっと」
「何を戸惑っておる。イエスかノーかで答えれば良いのだ」
そのイエスもノーも言えないから困っているの!
とは流石に組長には言えない。
どうしたら良いのだろうか。
あたしは駆け引きのプロとは言え、駆け引き=嘘をつくということでない。
どうしたら……。
「すみません、もう会合が始まっておりましたか」



