いよいよ開店時間となった。
「よろしくね。和佳菜様」
にっこり微笑んだ佐々木さんにずっとお願いしたかったことを、告げた。
「あの、佐々木さん。あたしは仮にでも従業員として働いている身なので、せめて働いている間は様づけはやめて頂きたいのですが」
今まではマークのお気に入りだからと、気にしないようにしてきたのだけど、流石に客に訝しがられてしまう。
昔から様づけだけはいつになっても慣れない。
これを機になくなるといいなあ、なんてぼんやり思いながらそう提案してみた。
「そうですか。まあ、それは時と場合による。ということにしましょう」
「時と場合による。というのは?」
「さすがにマーク様の前で様づけをしないで呼んだのなら、私殺されかけないので」
それは分からないでもない。
マークはそういうところは厳しいから。
「じゃあ、マークの前以外で、ということにしましょうか」
はい、と微笑んだ佐々木さんに安心した。



