『スカウトってのはな、うち、獅獣から向こうで即戦力となりそうな人間を引き抜くことだ。そっちで、マフィアの一員として育てていくための研修やなんやら受けて、世界を跨ぐでかい男にするっていうのが向こうの言い分やな』
1年と少し前。
dogsに12代目とあたしが集まったあの日聞いた、スカウトの話。
『あいつらが引き抜くのは決まって、もらい手がいない孤児。それでもって圧倒的な強さをもつ人間。総長とか副とかしてたやつの中で、選ぶらしーぞ』
『獅獣からも何人か行ったわけ?』
『そ、行ったさ。和佳菜が向こうに行ってる間に2人な。出てった次の日から未だに連絡取れねえけどな』
2度と、表の世界には戻れなくなる運命を、選んだ2人をあたしは知っていた。
そのうちの一人。
彼に拾われたあたしは不運だと思う。
「久しぶり、瑞樹(みずき)」
相楽 瑞樹。
あたしがマークのとなりにいた頃、よく護衛として側にいた人物であり。
一流の殺し屋だ。
そして、あたしが。
絶対に許せない相手。



