手を引かれ、そのまま暗い裏路地に連れ出される。
そしてどこかへ歩き出した。
ふわりと甘い香りが漂う。
それはよく嗅いだことのある匂いで、懐かしさを感じたが。
その人があたしの想像する人と同一人物であるはずがないのだ。
あたしの手を引くその人はあたしの前を歩くから、顔は見えない。
だけど、声も匂いも、若干特徴的な歩き方も。
あたしにはその人、にしか見えなかった。
やがて行き着いた先は、とある店で。
古くてみすぼらしい煉瓦造りの店だったけれど、ちゃんと営業をしている、ということだけははっきりとわかった。
そして目の前にいるその人は、カランコロンとdogsとよく似たベルを鳴らして、そのドアを開けた。



