「先日この番組に映画のお知らせで来てもらったんですけど……なるほど、素敵な方ですよね」

「わかってもらえますか?
特に柔らかく微笑む笑顔が素敵なんですよー」

是非映画で見てくださいね!と言えば、確か一ノ瀬さんは笑わないクールな役柄だった気が……。と困った顔をされた。

「ですがアイドルでこんなにオープンなお付き合いされるのも珍しいですね」

「やっぱりこそこそしたり嘘をついたりしたくないですし、堂々とデートもしたいじゃないですかー」

「スキャンダルになる前にって感じですか?」

「そうです。
先手必勝な感じです」

すごい発想ですねー。と朗らかに笑う司会者に、そうでしょー。と笑顔を向けた。

スキャンダルとして取り上げられる前にこちらから熱愛宣言してしまえばその後は何事もない限りスキャンダルにはならないはず。
そうすれば隆矢の事務所の条件である“スキャンダルは避けること”をクリア出来るはずだと勇菜の性格も考慮したプロデューサーに助言されて勇菜はその為の言動をしてきた。

実際プロデューサーの目論見は当たっていて、今まで相手の詮索でネットを多少騒がせたくらいで大きなスキャンダルにはなっていなかった。