まだなにかぶつぶつ言いながらも、有明も食事を始めた。

彼女の動作はやけにスローである。

いや、違う。スローに見えるのだ。

一つ一つの動きが優雅すぎて。

ハンバーガーに添える指、口元に持っていく仕草、食み嚥下する喉の動きまで。

この美少女に見惚れる男どもは、両手の指では到底足りない数だ。

三日月が冷静にそんな思考をできるのは、よく似た友人がいるからに違いない。

思えば、周りの人間に桃色の吐息を吐かせる人物二人に愛されている望は、実はかなり大物なのではあるまいか。

「……望に会いたい……」

俺ですみませんね。