どこに行こうか、と話す朔は楽しそうだ。

望も楽しい。唇が綻ぶ。

こんなに楽しいことは、他にない。

朔が隣で微笑んで、望はその笑顔に見とれる。

三日月も色々気を遣ってくれて、有明は望を心配してくれる。

大切なノートの背を優しく撫でる。

心が温かい感情で満たされているようだ。

そうか、これを幸せというんだな。

ぱっと浮かんだ単語がしっくりと馴染んで、望は少し笑った。

小首を傾げた朔にそう言うと、彼はちょっと驚いて、それから照れたように、幸せそうに笑った。