パタン、と朔がノートを閉じる。

望はベンチの上に体育座りをして、顔を足に突っ伏していた。

「望ちゃん」

「……うん」

「顔、上げて」

「……いや」

ふわふわ散っている髪を朔が掬いとって、少し引っ張る。

顔を上げて、の意味だが、望は動かない。

動けない。