封筒には
5万円入っていた。

そこから3万円を彼に渡す。

「はるちゃんありがとう!
世界で1番大好きだよ」

嬉しそうに抱きついて
大袈裟に愛を口にする。

あたしは、
これを本心だと思っていた。


「じゃあいってくるね」

布団の上から彼を見送った。

扉が閉まり、静かになる室内で

やっと頭が冴えてきた。

あたし、飛んだはず…

これが夢なのか現実なのか
急に不安になった。

しかも、
今さっきまでのやり取り。

デジャブとか予知夢とか
そんなレベルではない。

体験している。
2日前に。

頭が冴えてきたと思ったら
混乱してきた。

何気なくテレビの前にある時計が視界に入った。

デジタル時計には、
日付と気温も映されている。

12月20日 9:03 6℃

寒すぎる。

いや、そこじゃない!

あまりに現実味が無さすぎて
思考が緩くなる。

あたしが飛んだのは、
12月22日
そして今、
時計が示す日付は
12月20日
あたしがさっき体験していると思った
2日前の出来事。

まさにその2日前に
今居るという事になっている。