クールな君と甘いキャンディ

意外な言葉が返ってきた。


「あ、うん」


「マジで使っていいの?」


「うん、もちろん! 私、普通の傘あるから、どうぞ!」


私が再び念を押すと、少し間をおいてから、そっと手を差し出す彼。


「……わりぃ。それじゃ、借りるわ」


そして、無表情のまま、その折り畳み傘を受け取ってくれた。


有村くんが、カバンを肩に持ち直し、傘をそっと広げて差す。


彼の体に対して、女物のその傘は小さいようにも見えたけれど、これで少しでも彼が冷たい思いをしないで済むのなら、ひとまず安心だ。


「あ、返すのはいつでも大丈夫だからっ」


私がそう付け加えると、再びこちらに目をやる有村くん。


そして、目が合ったと思えば、彼は急に少し顔を赤くしながら、何やら言いづらそうにボソッと小声で。


「あぁ。あの……ありがとな。水沢」