あちゃーっ。どうしよう……。びしょ濡れだ。


すると、そこに誰かが慌てた様子で駆け寄ってきて。


「祐飛(ゆうひ)っ!」


聞き覚えのある声にドキッとして振り返ったら、そこにいたのは……。


「え、有村くん!?」


なんと、制服姿の有村くんだった。


ウソ。ちょっと待って。どうして彼がここに……。


「祐飛、お前、勝手にチョロチョロすんなって言っただろ」


有村くんはそう言って、男の子の両肩を両手でガシッと捕まえる。すると男の子はキョトンとした顔で。


「僕、手を洗おうと思ったんだよ。そしたら水がいっぱい出てきて、お姉ちゃんにかかっちゃった」


「はっ? ウソだろっ」


言われて私のほうを振り向くなり、ギョッとした顔をする有村くん。


「……って、誰かと思えば水沢じゃん! マジかよ。ごめん……」


そしてすごく申し訳なさそうな顔で謝ってきた。


「あ、ううん。別に私は大丈夫だよっ」


「あの、こいつ実は、俺の弟で……」