未来の視界には、3歳から見慣れた玄関に立つ、
3歳から見慣れた藍の顔。

パーカーのポケットに手を突っ込んだまま、まっすぐ未来を見ていた。




「おかえり」




ポーカーフェイスの藍の顔が微笑む。




「ただいま」




込み上げてきた涙を誤魔化すように、未来は藍に抱きついた。


「おまえ、ここでかよ」


いつもの藍の声。少し戸惑う藍の声が未来には愛おしい。


「いいじゃん。これからずっとこうするんでしょ」


「離れろばか」



ここからまた、二人の生活が始まるね。



懐かしい藍の家の匂いと、藍の匂いを身体中に感じて、未来はもう一度口にした。







「ただいま」







《〜fin〜》