「思ってるよりも早く、克服できるかもね」
「そうかな…………ひっ!」
突然、希夜くんの手が私の脇腹に触れたので変な声が出てしまった。
「ん?」
「あ、ごめんなさい。ちょっとくすぐったくて」
「敏感だ」
「いや、だって、こんなところ人に滅多に触られないから……」
「うん。ふふっ、そーだね」
希夜くんは、こういうことするのに慣れているのかな。
今は恋人はいないなんて言っていたけれど。
さりげなく空気を作ったり、嫌な思いをさせない仕方が本当にうまくて。
手慣れているな、なんて思ってしまう。
いやでも、私のことを女として見ていないならそりゃ簡単なことなのか。
「西条くんも俺以外に抱っこされて嬉しそう」
「え、希夜くん、西条くんのこと抱っこして寝ているの?」
「流石に今はしないよ。小さい頃の話ね」
「あっ、そっか」
そうだよね。
小さい頃の話だよね。
って……よく考えたら西条くんは希夜くんのじゃん。完全に緊張で、私物化して抱きしめてしまってたよ。人様のものを……。



