「大丈夫。小山さんが本当に嫌ならやめるから」
「……うん」
「いや?」
「いやじゃ、ない。けど……」
顔が見えていなくて良かった。
きっと、今史上最高に顔が真っ赤だ。
こんなの見せられない。
クマの西条くんを抱きしめる力がさらに強くなる。
「けど?」
「は、恥ずかしい、です」
「慣れるためだからね。いずれ恥ずかしくなくなるよ」
「希夜くんは、平気そうで……」
私が相手だから、そりゃなんとも思わないだろうけど。私だけがこんなにかき乱されるのはずるいなって思う。
「小山さんが俺より恥ずかしがってるの伝わるからだよ。パニックになってる人見ると冷静になるの法則と同じ」
「あぁ、なるほど」
「ほら、今だって小山さん徐々に普通に受け答え出来るようになってるでしょ」
「あっ、本当だ」
もちろん心臓のバクバクはおさまらないけれど、抱きしめられた瞬間よりもだいぶ落ち着いているかも。



