「さ、西条くん?」

「うん。西条くん」

意外な名前に、目が点になる。
普通、ぬいぐるみにはくーちゃんとかそういう名前じゃないのかな。

というか……。

希夜くんの部屋にこんな可愛らしいぬいぐるみがあるのも驚きなのに、名前までつけててしかもそれがまた独特とか。

いったいどっから突っ込めば。

もしかして、緊張をほぐそうとしてくれてるのかな。

「な、なんで西条くんなの?」

「小さい頃見てた戦隊アニメで憧れてたヒーローの苗字が西条で」

「あ、な、なるほど」

希夜くんのかっこいい顔で言われると不思議な気分になってしまう。

彼が言うように、他の人たちと普通の子供時代を過ごしてたはずだけど、あまりの端麗な顔立ちにその世界が想像できないといいますか……。

「座って、小山さん」

希夜くんは私にベッドに座るように促してから、座った私の膝にクマの西条くんを置いた。