「かっ、可愛いっ!」
1時間ほど冷蔵庫で休ませた生地を取り出して、買ったばかりのひよこ型で抜くと、ひよこの丸みがあんまり可愛すぎて思わず声が出る。
あとは抜いたひよこに竹串で目をつけていって。
「ふふっ。この子はぴよ太郎だ。こっちはぴよ美。美味しくなってよ〜」
なんて、ひよこクッキーに名前をつけて、我ながら、すごく良くできているなと口元が緩む。
「希夜くん、食べてくれるかな」
「それ、俺のために作ってるの?」
っ?!
突然、横から発せられた声にびっくりしすぎて身体が飛び上がりそうになった。
「き、希夜くんっ?!」
顔を向けると、思ってたよりも近くに希夜くんの顔があって、さらに驚いて、すぐに一歩距離を開ける。
「い、いつからそこに……」
「小山さんが、ぴよ太郎とぴよ美に話かけたあたりから」
「……っ!!」
うっ、嘘でしょ?!
聞かれてた?!
恥ずかしさで、顔が熱くなる。
赤くなっているのが自分でもわかるくらい。



