「あの、恵美さん。希夜くんって甘いもの大丈夫ですか?」
「え?大好きだけど。どうかした?」
「……勉強、見てくれたんです。まだちゃんとお礼できてなくて。それどころか嫌な思いさせちゃったから、お詫び……というか、その……」
口に出しながら、なんだか恥ずかしくなって語尾を濁すと、恵美さんが「まぁ……!」と顔を明るくした。
それから恵美さんから、希夜くんの小さい頃のエピソードを少し聞きながらお茶をしたりして。
すごく暖かい気持ちになった。
テレビで見たひよこを気に入った希夜くんが、冷蔵庫からこっそり卵を取り出して、部屋で隠れて温めていたとか。
今の希夜くんの色気のある雰囲気からはあんまり想像できなくて、可愛らしい男の子だったんだなって実感して。
正直、もっと希夜くんのことを知りたいって思ってしまった。
そのためには、まず、私にはやらなければいけないことがあるんだ。



