「希夜くんのおかげで100点2枚も取ってしまったよ!本当にありがとう。クラスのみんなもすごく喜んでくれて。あの、本当にありがとう!」

「ふっ。何回言うの。良かった。少しは役に立てて」

「少しなんてもんじゃないよ!」

あんなに見てくれて、「少し」なんていうんだもん。謙遜(けんそん)が過ぎるよ。

「ちゃんと集中して勉強したのは小山さんだよ。同じことやっても、本人の意識がなかったら意味ないもん」

「そ、そんな……」

どうしてそんなこと言えるんだろうか。
優しすぎてはないか。

「希夜くんだって自分の勉強があるのに。希夜くんは、その、大丈夫だった?私みたいなのに時間割いちゃっていつもみたいに勉強できなかったんじゃ……」

「大丈夫。ちゃんといつも通り……いや、小山さんとやっていつもより復習ができたから、いつも以上よりできたかな」

「……そ、そっかっ」

希夜くんの落ち着いた声に、途端に安心する。
どこまでも、こちらに気を遣わせようとしない言葉に助けられる。