不覚にも、ドキッとしてしまったのと同時に、こんな私が、希夜くんの初めてでいいんだろうか、なんて、今までなら絶対に考えなかったことを思ってしまう。

それにしても、希夜くんのこと、何考えてるかわかんないって思う人もいるんだな。

そりゃ、すこぶる表情に出るってわけじゃないけど、彼の優しいところとかすごく伝わってくるのに。

「よし、じゃあ続き始めようか」

彼のその言葉で、私は再びペンを持った。

せっかくこんなに優しく丁寧に教えてもらってるんだから、いい成績取らなきゃだよね。




それから、週明けの月曜日ついにテストがやってきて。

問題用紙を見てびっくりした。

数学は希夜くんが出してくれた問題と似たようなものばかりで、全部スラスラと溶けて。

他の教科もすべてそう。

テストが楽しいって思えたのなんて生まれて初めてだった。

勉強したのはあんなに短い期間だったのに、こんなに変わるなんて、と感動しながら、好調な滑り出しで、テスト当日がスタートした。