「2年3組 お化け屋敷やってまーす!」
ドアの向こうから、生徒のそんな声がして。
ハッと我にかえって状況を把握する。
いろんな人たちが校舎を出入りする学園祭。
ここは空き教室だけど、誰かが入って来てもおかしくない。
「んっ……はぁっ……希夜、くんっ、誰か来たら……」
希夜くんの胸をトントンと叩きながらキスを止めてそう声をかける。
「いいじゃん。見せつければいい、花純はずっと俺のものだって」
「そんなっ……」
うんと優しい声で強引なことを言うんだもん。
それでもやっぱり嬉しくて。
恥ずかしい気持ちよりもうんと、お互いの気持ちを感じ合うこの時間が、ずっと続けばいいのにって。
窓の外から聞こえる生徒たちによる野外ライブや、お客さんを集めるための呼び込みの音。
そんな音が、まるで私たちのこの秘密の時間を隠してくれてるようで。
「……希夜くん、だいすき」
気持ちが抑えられなくて、彼の耳元にそう囁けば、
「っ……ほんと確信犯だね。この流れでそういうこと言うなんて。今日こそ止めてあげないから」
希夜くんが耳を真っ赤にしてそう言って。
ふたたびキスの雨が降り出して。
「好きだよ、花純。一生大事にする」
そう言ってギュッと抱きしめてくれて。
希夜くんの甘いささやきはきっとこれからも、止まることを知らない。
───END───



