*
「……二見が来るとか聞いてないんだけど」
空き教室に入り、ドアをピシッと閉めたクマの着ぐるみさんが、クマの顔を脱ぎながらそういった。
「私も今会ってびっくりして……ほんと偶然だよ」
「どうだか……」
「っていうか希夜くん、その格好、どうしたの?」
確か、希夜くんたちのクラスは、女の子はメイドの格好で男の子は執事の格好なんじゃ……。
希夜くんの執事姿、結構楽しみだったのに。
いや、クマの着ぐるみも十分可愛くて、レアな希夜くん見れて嬉しいけど。
「俺がいるとまともに接客できなくなるらしくて。だから、じゃあ宣伝の方に回るって」
「えっ、そうなの?自分から?」
希夜くんがコクンと頷く。
どうしよう……可愛い。
きっと、希夜くんの容姿だと、さぞ女の子たちが群がることだろうから、それが行きすぎて教室でのサービスがうまくできなくなるってことなのかな。
なんとなく想像はついちゃう。
でも、教室でみんなと学園祭を楽しめないのはちょっとかわいそうな気もする。



