聞き覚えのある声が、ざわざわと賑わう人混みの中からはっきり聞こえた。

声が聞こえたこと思えば、両肩にトンと手が置かれて。

「捕まえた」

耳元でそう声がして。

恐る恐る振り返ってみれば……。

「……二見 椿!」

私が振り返ってその人物の顔を確認したのと同時に、隣の舞子が声を出した。

「なんで……二見くん……」

「なんでって、スタンプラリー参加者だから、赤ずきんちゃん探したんだ。たまたまだよ。後ろ姿見ただけで、小山ってわかったけど」

「あんた、どの面下げて花純に会いに─────!」

「え〜ふたりとも可愛いねー!椿、知り合いなの?紹介してよー!」

「……っ、」

舞子がギッと二見くんを睨んだのなんておかまいなしに、二見くんと一緒に来ていたらしい友達が騒ぎ出す。

「元カノ」

「えっ?!元カノ?!」

「ちょっ、」

なんでもないことみたいに平然と答える二見くんに、思わず固まってしまう。

言っちゃうものなの?