「……す、須永くんは、苦手な食べ物とかあるの?」
『希夜くん』
彼の下の名前がうまく出てこなかった。
呆れられてるかな。
名前も呼べない女、だなんて。
いや、別に思われても全然問題ないんだけど。
むしろ、須永くんが思ったよりも口数の多い人でびっくりしているよ。
須永くんばかり話してもらうのはなんだか申し訳なくて、少しこちらからも話題を振ってみたけど。
ずっとふたりきりで終始無言っていうのも、わたし自身苦手だし。
今まではこういう状況にならないために徹底して男子を避けていたけど、同居していて、しかもおつかいをふたりで頼まれているとなると話は別で。
「普通にあるよ。セロリとかゴーヤとか。出されたら我慢して食べられるレベルだけど、苦手かな。小山さん平気?」



