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「小山さん、今日俺になんか用事でもあった?」
「……えっ、いや、」
家から出て少し歩くと、並んで歩く須永くんが突然話しかけてきたのでとたんに緊張してしまう。
「でも、お昼休み、来てたよね?特進クラスに」
「あ、えっと、あれは、たまたま。友達が、須永くんのことみたいって言ってたから」
うつむきながら、自分のローファーだけを見つめて話す。
「あぁ、そうなんだ」
「そう」
「……」
なんだか、今日、お昼休みに見た彼のは違う人みたい。
学校では、舞子が言うようにずっと、女の子たちにキャーキャー言われてもポーカーフェイスだったのに。
まさか、須永くんの方から話しかけてくるなんて。
しかも、私は、昨日彼に『嫌い』と言い放ったばかりだ。



