「あら、都合悪かったかしら?ついでに近所を希夜に案内してもらったらいいかなって思ったんだけど……」
「っ、全然大丈夫です、はいっ!い、行ってきます!」
自分からお手伝いがないか聞いておいて断るのは、人としてどうかと思うし。
やっぱり、これから恵美さんや須永くんたちと暮らすとなると、ある程度の接触には慣れなきゃと思い、とっさに答えた。
「はい、これ買い物リストね」
恵美さんはメモ用紙とお札を須永くんに渡す。
「じゃあ、2人とも仲良くねっ。花純ちゃん、希夜にも私にも遠慮しないでなんでも言って!」
玄関に向かう私たちに、微笑ましそうにひらひらと手を振る恵美さんに、ペコっと会釈してから、私は須永くんと一緒に、家を出た。



