「二見くんが私の初恋だったのは事実だけれど、でも、私にできた傷を癒してくれたのは完全に希夜くんだよ。希夜くんのおかげで、ちゃんと克服することができたの。こんな私のこといつも気にかけてくれて……」

感謝とかそれ以上に、誰かの希夜くんになって欲しくないってヤキモチ妬いて無性に不安になって。

こんなにも自分が人を好きになる日が来るなんて。

「俺はなにもしてないよ。小山さんの気持ちって言うよりもいつも自分の気持ち優先だった。俺が小山さんに触れたくて、話したくてしてただけ。小山さんといると不思議と落ち着くんだ。好きだよ、小山さん」

頬に触れていた指が優しく私の涙を拭って。

大好きな人に呼ばれて、好きだと言ってもらえる。

それがこんなにも嬉しいことだなんて。

「っ、わ、私も、大好きだよ」

「それはずるいよ、小山さん」

希夜くんが私の耳元でそう優しく呟くと、ふわっと柔軟剤の香りして。

「……っ?!」

唇に、暖かくて柔らかいものが触れた。

これって……。

「だいたい、好きじゃない子にキスなんてしないでしょ」

唇が離れるとすぐに希夜くんが顔が近いままそう言って。

きっと、宿泊研修の時のキスの話をしているんだ。