『小山……まじで、これで聞くの最後にする。俺に、もう一回、チャンスくれない?』

そう言ってすごく弱ったような顔をした二見くんに、まっすぐと。

『ごめんなさい。私、希夜くんが好きだから。大好きだから。今日は、二見くんといて楽しかったことも悲しかったことも全部ちゃんと思い出にして、希夜くんに堂々と告白しようって思ったから』

そう言った私を見て二見くんは、薄く笑ってから。席を立ち上がって前髪のかかった私のおでこに軽くキスをして、お店を出て行ったんだ。

「じゃあ、二見とは……」

「きっともう会うことはないよ、だから、よりを戻すなんてそんな」

「はぁーーーー」

希夜くんは私から事情を聞くと、安堵したような大きなため息をついてから顔を手で覆った。

「てっきりもう話がどんどん進んで、ふたりがよりを戻すのは時間の問題なんだと……だから、俺、必死で。小山さん、二見のことになると普段見せない顔するから、すげぇ妬いた」

『妬いた』

そのセリフに再びボッと耳の先まで熱くなって。
暗くてよかったと何度も思う。