自分から伝えるつもりだったのに。
希夜くんにもし大切な人ができたとしても、止められないこの溢れる気持ち。

本当に、これは、夢じゃない?

もし今、目を閉じちゃったら、全部夢でした、なんて朝起きてしまうんじゃないかとか。

でも、頬から伝わる希夜くんの優しい手の感触は、現実だって実感させて。

「……私だって、もうずっと、希夜くんのことが、好きだよ」

今までの不安とか緊張とか、胸の高鳴りとか。
その全部が入り混じる感情が一気に溢れて、涙へとなる。

「えっ……小山さん、今なんて」

まるで、さっきの私と同じような反応をする希夜くん。

「……希夜くんったらひどいよ。二見くんとどうにかなるとか考えられないのに」

「……っ、だって、小山さん、今日、二見と会ったって」

希夜くんの瞳が泳いでいる。
こんな希夜くん初めて見た。

「会ったよ。でもそれは、ちゃんと、前を向くため。ちゃんと、伝えたの」

私は、今日、二見くんと最後に話した会話を思い出す。