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ガチャ
「ただいま帰りました」
「あら、花純ちゃんおかえり〜そんなにかしこまらなくてもいいのよ〜!」
まだ慣れない須永宅に帰ると、キッチンにいた恵美さんが玄関まで来てくれた。
「まだ慣れなくて……。あっ、恵美さんのお弁当すごく美味しかったです!ありがとうございました!」
「あら、そう?嬉しい〜!希夜なんか、自分からは何にも言わないからそう言ってもらえるとすごくモチベーション上がる〜!」
靴を脱いでリビングの方に向かいながら、恵美さんと話をして、空になった弁当箱を恵美さんに渡す。
須永くんと、同じ弁当を食べたんだと思うとなんかちょっと変な感じ。
「希夜、よくなに考えてるかわかんないって言われちゃうけど、聞けばちゃんと答えるし、愛想ないけど悪い子じゃないから、仲良くしてあげてね、花純ちゃん」
「あっ、は、はい……」
仲良く、なんて。
男嫌いができるわけないのに、よくもまぁ返事をしてしまったもんだ。
恵美さんの優しい人柄と可愛らしい笑顔を見ると、男の子が嫌い、だなんて言えない。



