「ママも急に決まったことで戸惑ってるけど、いつ帰ってこれるかもわからない状況の中、花純ひとりお家に置いておくのも心配だし……」


そう言って、ハンバーグをお箸で切って次々と口の中に運んでいくママを見る限り、とても戸惑ってるようには見えない。


「え、ママ、私が男の人苦手なの知ってるよね?なのになんで、息子さんのいる家なの?」


たしかに、近くに親戚の家があるわけでもないから、面倒を見てくれる人を今から探すの大変だとは思うけど……でも、なんで、よりによって同い年の男の子なんて。


「この機会に克服しちゃえばいいじゃない」


「……は、い?」


まるでなんでもないことみたいにサラッと言ったママに思わず聞き返す。


「花純、高校2年生よ?このまま、恋愛の1つもしないで生きてくつもり?ママに何かあったらどうするの?これから素敵な人と出会って結婚してもらわないと、ママ心配で……」


「あーもー、わかってるよ……」