麦茶を飲み終わりお手洗いに入ってから、二階の部屋へと向かう階段を上る。
「あっ……」
階段があと一段まできたとき、なんだか人の気配がしたので顔を上げると、思わず声が漏れた。
希夜くん……。
目線の先には、壁に背中を預けている希夜くんが私に気付いてこちらを見ていた。
バチっと目が合う。
どうしてこんな遅くにこんなところで立っているんだろうか。
「……小山さん、夜更かし?」
「へっ、あ、うん、まぁ……あんまり寝られなくて」
まさか希夜くんのほうから話しかけてくれるなんて思わなくて、びっくりして言葉がうまく出てこない。
本当は、放課後に一緒にいた女の子のことがすごく気になるけれど。
私にそれを知る権利なんてないわけだし。
希夜くんは、階段を降りるわけでも部屋に戻るそぶりも見せずにそこに立っている。
どうしたんだろう。
「……小山さんさ、」
少しの間黙っていた希夜くんがようやく口を開いたので、私は、部屋に戻るのをやめて「……はい」と控えめに返事をする。



