ここから声かけたら気付くかな?

偶然、放課後の帰り道にこんな風に会えるなんて。

正直、お家には恵美さんたちもいるからなんとなく気を使ってしまうし、話すなら外にいる今。

まるで、絶好のチャンスだって言われてるみたいな──────。

「希─────っ、」

えっ?

あれって……。

ふと、希夜くんが顔を横に向けた。
その視線の先には──────。

希夜くんが誰かと歩いているなんてまったく思ってもみなかった。

サラサラのポニーテールを揺らしながら歩く、セーラー服姿の女の子。

確か、この近くの中学の制服だと思う。

どうして希夜くんが、女の子と歩いているんだろうか。

確か、彼女はいないと言っていた。

え、一体……誰?

まったく予想してなかった出来事に、思考停止寸前。

さっきまで、希夜くんとちゃんと仲直りして、勇気を出して一歩踏み出そうって思っていた。

でも、そんなもの、撤回だ。