「もう小山のこと、からかったり邪魔したりしないから。でも、俺のこと必要になったらいつでも連絡してきてよ。須永に泣かされたら俺のところおいで……って、傷つけた俺が言う資格ないのはわかってるんだけど」

二見くんはそう言いながら、頭をガシガシとかいて軽く息を吐く。

そして、少し沈黙になってから再び二見くんが口を開いた。

「あー、だめだな。俺、相当あの時のこと後悔してるみたい。久しぶりに小山の顔見て話してさ、ジワジワそんな気持ちがデカくなってる。こんなこというのまじで柄じゃないけど、ほんと、うまくまとまんなくて。自分でもなんであんなことしたんだって思うし、だから、その、」

初めて二見くんを見た時の第一印象は、クールで周りのことを見守ってるような人って印象で。

付き合ってもそれは変わらなくて、むしろ、彼の気持ちがわからない時が怖いなって思うことも増えて。

でも、初めて手を繋いだ時、その手が無性に暖かくて嬉しかったのを覚えている。

そんな彼が、今、私に向かってたくさん複雑ないろんな気持ちを伝えてくれて。

二見くんは片手で顔を隠したまま、もう一つの手を伸ばして私の手に触れた。

「小山……まじで、これで聞くの最後にする。俺に、もう一回、チャンスくれない?」